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草迷宮

向うの小沢に蛇(じゃ)が立って、
八幡(はちまん)長者の、おと娘、
よくも立ったり、巧んだり。
手には二本の珠(たま)を持ち、
足には黄金(こがね)の靴を穿(は)き、
ああよべ、こうよべと云いながら、
山くれ野くれ行ったれば…………

泉鏡花 【いずみ・きょうか】

小説家。本名、泉鏡太郎。明治6年11月4日?昭和14年9月7日。石川県金沢市下新町二三番地に生まれる。明治23年、小説家を志して上京。翌年、尾崎 紅葉の玄関番として尾崎家に同居し、小説修行に励んだ。明治28年、「夜 行巡査」、「外科室」を発表し、高い世評を得るが、翌年、それまでの観念的な作風を一転させた「照葉狂言」を発表。自然主 義文学が文壇の主流を占めるなか、耽美的、浪漫的、怪異な作風を展開。